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10.04
Mon
閉じた目の奥の暗い心の中にピエロの顔を思い浮かべてみる。
分厚く塗られた真っ白い顔、丸くて異様に大きい赤い鼻、そして口が裂けるほど塗りたくられべったりと貼りついた笑顔・・・

夜トイレに目が覚めて、それからなかなか寝つけないでいると、ふとこどもの頃ピエロが怖かったことを思い出したのだ。
マクドナルドの入口の脇に置かれたドナルドの等身大の人形はもちろん、友達の家のトイレの小さなピエロの絵柄の壁紙まで怖かった。

大人は「ピエロは人を笑わせるためにあんなメイクをしているいい人なのだ」とか、「心が泣いていても顔は笑っているいい人なのだ」と言って私を安心させようとしてくれたけど、効き目はなく、むしろ逆効果だったような気がする。

何歳頃だったか、友達家族と遊園地に行ったときは本当に怖い思いをした。
園内の入り口近くで、どこからかピエロがあらわれて私に近づいてきて、手に持ったカゴの中から私に何かをくれようとするのだ。(たぶん飴ちゃんか何かだったのだろう。)
私は走って逃げたい思いで身を固くして、かたくなにそれを受けとらなかった。

そして遊園地の催しもののショーを観ているときだ。(私はそこに居ただけでたぶんショーは観ていなかったのだけれど。)
舞台の上のふたりのピエロがこちらに向かって親しげに手を振り、私に手招きをするのだ。
大人たちはこんな機会は滅多にないから舞台の上に上がっておいでと私を促すのだけれど、私としては手を振られただけでもぞっとしているのに、彼らのもとに行くだなんて嫌で嫌であまりの恐怖に大泣きした記憶がある。

ピエロに怖いことをされたわけでもないのに、どうしてこんなにも怖い気持ちがあるのか不思議だと思う。

だけど、ピエロのあのメイクの中に人間のもつ仮面のようなものの不気味な側面を、それを何とはわからなくても、こども心に強烈に感じとってしまって、それに怯えていたのかもしれないと思うと妙に納得がいく。

それで、怖い理由がわかればもう怖くないのではないかと思い、思い切ってピエロを画像検索してみた。
・・・やっぱり怖い。
むむむ。
だけど、どうしようもなくダメなものは仕方がない。
大人になってまでピエロが怖いだなんて、なんて思わなくていいのだ。
そんな私、いいよね、と思うとなんだか愛おしく思えてきた。



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