強風、霰、雨、晴れ間。変な天気の一日。寒い。
夜がくる手前。渡船はまだ二隻うごいている。
甘美な空が天をおおっている。透明でどこまでも深い青。
街も海も私も、みんな紺青の中にいる。
小さな千切れ雲が遠くに並んでふたつ。
街の灯りをはさんで、海は空よりもすこしだけ黒の多い濃い色をして、景色の重心を下にたもっている。
景色の中から突然姿を現したように、渡船が音をたて、大きく迫ってくる。
離れていくもう一隻は、景色の中に溶けていくようだ。
船がはしると、海は妖艶にとろとろと船のまわりを動く。
見上げると、月が涙のひとしずくのような形に、白く輝いていた。
夜がくる手前。渡船はまだ二隻うごいている。
甘美な空が天をおおっている。透明でどこまでも深い青。
街も海も私も、みんな紺青の中にいる。
小さな千切れ雲が遠くに並んでふたつ。
街の灯りをはさんで、海は空よりもすこしだけ黒の多い濃い色をして、景色の重心を下にたもっている。
景色の中から突然姿を現したように、渡船が音をたて、大きく迫ってくる。
離れていくもう一隻は、景色の中に溶けていくようだ。
船がはしると、海は妖艶にとろとろと船のまわりを動く。
見上げると、月が涙のひとしずくのような形に、白く輝いていた。
晴れて朝から暖かい。
自転車で買いものに行く。
気持ちよくペダルをこぐ。
途中帽子が飛びそうになって、手で押さえたり、うつむき加減になったりして、気にしながら走る。
この暖かさにもっと身も心も軽くなって走りたいのに、そうできなかったから、帰ったら帽子が飛ばない工夫を考えようと思う。
幼稚園の黄色い送迎バスが止まっていて、脇に立った5,6人の親御さんが、バスに向かって一生懸命手を振っている。
私からバスの中は見えないけれど、きっと子供たちは窓に張りつくようにして手を振っていて、親はそれに答えているのだと思う。
これから子供たちは幼稚園で過ごして、親たちは仕事や家事やいろいろな用事をして、お迎えのときにはまた子供たちは親の顔を見て喜び、駆けていくのだろう。
そんなようすを想像して、子供たちは毎日なんて劇的な別れと出会いを繰り返しているのだろう、と思う。
そんなことを考えながら、自転車をこぐ。
自転車で買いものに行く。
気持ちよくペダルをこぐ。
途中帽子が飛びそうになって、手で押さえたり、うつむき加減になったりして、気にしながら走る。
この暖かさにもっと身も心も軽くなって走りたいのに、そうできなかったから、帰ったら帽子が飛ばない工夫を考えようと思う。
幼稚園の黄色い送迎バスが止まっていて、脇に立った5,6人の親御さんが、バスに向かって一生懸命手を振っている。
私からバスの中は見えないけれど、きっと子供たちは窓に張りつくようにして手を振っていて、親はそれに答えているのだと思う。
これから子供たちは幼稚園で過ごして、親たちは仕事や家事やいろいろな用事をして、お迎えのときにはまた子供たちは親の顔を見て喜び、駆けていくのだろう。
そんなようすを想像して、子供たちは毎日なんて劇的な別れと出会いを繰り返しているのだろう、と思う。
そんなことを考えながら、自転車をこぐ。
ひんやりとした雨模様のいち日。
夕飯を食べ部屋にいると、外を吹き抜ける突風の音。
すこし考えて、背の高い植物を家の中に入れる。
とぎれとぎれに強く吹き抜ける風。
春の嵐、と思いながらぼんやり寝転がって聞いている。
雨粒の大きいのが、ふいにパァーっと屋根を打ったりする。
突然、心臓がドキンとして、まるで、ちょうど真上に雷様がいるような唸りがして、部屋全体が揺れる。
つぎは裂けるような音がくるのかと身構えたけれど、それはこなかった。
すこしして、カーテンの隙間が光って、音はもう、すこし向こうに離れたところで鳴っている。
またすこしして、光って、音はもうずいぶん遠くに聴こえた。
今はこんなふうだけど、明日の予報には晴れマークを見た気がする。
私の心にも春を待つ気持ちがふくらむ。
夕飯を食べ部屋にいると、外を吹き抜ける突風の音。
すこし考えて、背の高い植物を家の中に入れる。
とぎれとぎれに強く吹き抜ける風。
春の嵐、と思いながらぼんやり寝転がって聞いている。
雨粒の大きいのが、ふいにパァーっと屋根を打ったりする。
突然、心臓がドキンとして、まるで、ちょうど真上に雷様がいるような唸りがして、部屋全体が揺れる。
つぎは裂けるような音がくるのかと身構えたけれど、それはこなかった。
すこしして、カーテンの隙間が光って、音はもう、すこし向こうに離れたところで鳴っている。
またすこしして、光って、音はもうずいぶん遠くに聴こえた。
今はこんなふうだけど、明日の予報には晴れマークを見た気がする。
私の心にも春を待つ気持ちがふくらむ。