丘の傾斜から、せり出すように生えている桜の葉が紅葉して、赤く色づいている。
昨日の朝方、嵐みたいな風が吹いたけれど、がんばって、枝から落ちてしまわずにいる。
堤防にすわって、桜の木を見上げたばあちゃんが、「あれ、花が咲いとるんかねえ。」と言う。
じいちゃんが、「花なわけあるまあ。」と、ぴしりと返す。
それでも、「でも、他とずいぶん色が違うから、花に見えるんよ。」と、がんばるばあちゃんに、
じいちゃんは、「双眼鏡で見てみるか。」と言って、ずいぶん立派な双眼鏡を持ってきた。
桜の木を見ようとして、「近すぎるわ。遠くを見るためのもんじゃけ。」と言って、
千光寺の方を向いて、ピントを合わせるじいちゃんに、
「ロープウェイに人は乗ってますか。」と、ばあちゃんが聞く。
どれ、よし、という風に、じいちゃんが、頂上付近にきていた箱にレンズを向ける。
ちょうど太陽がガラスに反射して光っていて、中は見えなかった。
双眼鏡をばあちゃんに渡すと、ばあちゃんは桜の木を見て、「葉っぱだわね。」と言って、満足そうなようす。
雲のない、よく晴れた日で、「秋でも、こんな日は、小春日和いうんよ。」と、じいちゃんが言って、
みんなで笑った。
昨日の朝方、嵐みたいな風が吹いたけれど、がんばって、枝から落ちてしまわずにいる。
堤防にすわって、桜の木を見上げたばあちゃんが、「あれ、花が咲いとるんかねえ。」と言う。
じいちゃんが、「花なわけあるまあ。」と、ぴしりと返す。
それでも、「でも、他とずいぶん色が違うから、花に見えるんよ。」と、がんばるばあちゃんに、
じいちゃんは、「双眼鏡で見てみるか。」と言って、ずいぶん立派な双眼鏡を持ってきた。
桜の木を見ようとして、「近すぎるわ。遠くを見るためのもんじゃけ。」と言って、
千光寺の方を向いて、ピントを合わせるじいちゃんに、
「ロープウェイに人は乗ってますか。」と、ばあちゃんが聞く。
どれ、よし、という風に、じいちゃんが、頂上付近にきていた箱にレンズを向ける。
ちょうど太陽がガラスに反射して光っていて、中は見えなかった。
双眼鏡をばあちゃんに渡すと、ばあちゃんは桜の木を見て、「葉っぱだわね。」と言って、満足そうなようす。
雲のない、よく晴れた日で、「秋でも、こんな日は、小春日和いうんよ。」と、じいちゃんが言って、
みんなで笑った。