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03.30
Mon

あたたかい春の到来をまだずっと遠くに夢見ていた先月のこと。

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電車に乗り込み、白い山に見送られ、陸の端っこに出ると、つづく海岸線。
降り出す雨。灰色の町。かたくなな景色。最果て。


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滲みでる侘しさが、そのうちに、頭の中にまで浸食して、気づいたら座席に埋もれるようにして眠っていた。
覚めると、斜め前に、眠る前には居なかった髭面のおじさんが、両方の足をてんでばらばらに放り出して眠っていた。




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03.23
Mon
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おべんと御飯(煎り卵ともみ海苔の混ぜ御飯)か、猫御飯(おかかと海苔を御飯の間に敷いたもの)であれば、私は嬉しい。

それまでゆっくりと上下し続けていた私の目玉は、この一文でピタリと止まり、
銀色のお弁当箱の蓋を開けたときの、散りばめられた黄色、ふわりと鼻をかすめる海苔の香り、
いたってシンプルなんだけどなんとも言えないおいしさがあるそのお弁当をどうしても食べたくなった。

本を置いて、自転車を走らせたお店の、前にいちど見かけて、欲しいと思っていたお弁当箱は、
よく見てみるとつなぎ目だらけの小物入れの缶からだった。



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03.16
Mon
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白鳥の声が聞こえて、ゆめうつつの、毛布のぬくもりの中で目を覚ました。

後日、ラジオで「今朝は白鳥の鳴き声で起きましたー」という投稿を耳にしたので、この辺りではこの時期の日常なんだ、と思う。
だけど、私は、白鳥に起こされるなんて、なんだか、嘘みたいで、お伽の中の主人公を思ってしまう。

飛んでいく白鳥に手を振る季節。



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