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03.22
Tue
明け方、
わたしは布団の中にいて
頬を枕に寄せて
うつ伏せにねている
夜中に目が覚めなかったから
ぐっすり眠った気がして
きもちがいい
雨の音がしずかに響いている
当たりのやわらかい
耳に心地よい
春のような雨
こんな雨なら
一日中降っているのも
悪くないと思う



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02.27
Sun
おじいさんがおぼつかない足取りで自転車を押しながら歩いてくる。
自転車のカゴにはスーパーの買い物袋。
私はその心配なようすが気になっておじいさんを見た。
自転車を押してあげようか?
だけどおじいさんが自転車を支えているのと同時に、自転車がおじいさんを支えている。
私は声をかけずにそのまま通り過ぎた。

ところが時間が経ってもそのことが頭から離れない。
そして時間が経つごとに、おじいさんに声をかけなかった自分への罪悪感のようなものがつのっていく。
何か手伝えることがあったかもしれない。
もし手伝えることがなかったとしても、声をかけることが、おじいさんが家まで歩くすこしの元気にはなったかもしれないのに。
どうして声をかけなかったんだろう?
私の内にいる、優しくない私と優しくなりたい私。
きっと今までも何度もすれ違ってはいたんだろう私と私が、はじめて正面を向き合って見つめあったような、心の中の葛藤を感じながら、しばらく過ごしていた。

それから一週間ほど経った頃だろうか。
私はスーパーの入り口近くで、野菜や果物を見ていた。
入り口のドアが開き、冬の空気の中から暖房の効いた店内に人が入ってきて息をつき、「あぁ・・ぬく・・」と言うのが聞こえた。
その心からそのまま漏れ出たような声に私は振り向き、目が合ったその人と、何かを共有するかのように微笑みあった。
それはあのときの、あのおじいさんだった。
そのとき、幸せな時間が流れたと同時に、私は許された気がした。



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02.27
Sun
あの日 放してあげた 私の小鳥は

今は丘の上の日だまりの中にいます

昨日は風に吹かれて海の向こうへ飛んでいきました

またあるときは うれしそうに尾をふる犬の背中にのっていっしょに笑っています

いつか星の光のように 夜のすんだ空気にとけて 誰かの夢とまざりあう

そんなことがあればいいと 私はひそかに願っています




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02.19
Sat
自分の内にあった壁をひとつ取りのけることができたかもしれない、そう思える出来事があった数日後、こんな夢を見た。



家の内と外の間のような空間。
そこに私のものではない、誰か他の人のものがたくさんあって、どうやらそれらが運び出されるらしい。
真ん中らへんに置かれている仕切り板のようなものは、ちょうど私がいる場所の目隠しになってくれていたので、それがなくなるのは困るなと思っていると、運送業者のような人たちが来て、ものを運び出しにかかる。
そのうちに私は色々なものの中に私のものが混ざっていることに気がつく。
運送業者の人が仕切り板を持ち出そうとしている。
だけどそれはもうどうでもいい。
それよりも、まわりの棚なんかに混ざって置かれている私のものたち。
たとえば幼稚園のときに使っていたお弁当箱のような、もう使わない、だけど愛着のある、そんなものたちが一緒に運び出されようとしている。
私はあわてて「それは私のです!」と言って訴えるのだけれど、運送業者の人たちは気にしない。
私のものがなくなってしまう。
もうなくなってしまったものもある。
私はとても悲しくなって、涙ながらに「それは私のなんです・・」と言って、悲しくて泣きながら目が覚めた。



変わっていくことは、それまでの自分が持っていたものがなくなっていくことでもあって、なくなるからこそ、新しいものが与えられる。
嬉しい変化の裏ではこういうことが行われているのかもしれない。
そう夢が教えてくれた。




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12.16
Thu
遠く前方にちらちらと何か動くものが見える。
犬のしっぽのようだと思う。
籏のようなものが風に揺れているだけかもしれないとも思う。
だけどそのちらちらした動きに光があるので、きっと生き物にちがいないだろうと思う。
しばらくすると、そのちらちらしたものが歩道に出てきたので、やっぱり犬のしっぽだったのだと分かった。
犬はむこうから、私はこちらから歩いて、だんだんと距離が縮まる。
近づくとだいぶんと歳をとった犬だと分かる。
年老いた野犬。
どこか方向が定まらないふらふらとした歩き方をしている。
大きな目はどこか遠くを見ているようだ。
もうあまり現実は目に入っていないのか、車が走っている車道にとくに考えもない様子で出ていく。
こちらの車線では車が犬を大きく避けて走り過ぎ、むこうの車線では犬に気づいた車が一時停止して、犬は道路を渡り神社の方へと歩いていった。

そんな光景を見てからしばらく行くと、こんどは二匹の犬が前方から歩いてくる。
私はこれまで野犬にあっても野犬という印象を受けたことがなかった。
みな捨てられた飼い犬という印象で、人なつっこいような、優しい愛くるしい顔をしているのだ。
けれどこの二匹の犬の表情はちがった。
その表情に生やさしさや甘えはなく、おごそかな厳しさとたくましさをたたえているように見えた。
力強い足取りで歩いてくるその体つきにも、筋肉の弾力が見えるようなたくましさがある。
その二匹が急ぐ様子で私が今来た方へと向かっていく。
私にはこの二匹が先ほどの老犬のもとへ急いでいるように見えた。
あの老犬は死が近いのだろうか。
何が起こるにせよ、二匹はそこに駆けつけ、そこで起こることを見、体験し、それを自分の一部として生きていく。
そんな印象を受けた。




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